理想の町とは?まちづくりとは?

理想の町、理想のまちづくり
『理想の町』とはどのような町でしょうか?Googleで検索してみると、ヒット件数はなんと3,730万!非常に多くのページがヒットしました!しかし、よく見てみるとしっかりしたサイトはどこにも見当たりません。それの理由は『理想の町』の概念が人それぞれで統一していないのが大きな理由の一つだと思われます。
理想の町について真剣に考えているサイトが一つあったので、一部抜粋して紹介します。
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まちづくり推進のための 小平市の市民提言書~理想のまちをみつけたい~
如何でしたでしょうか?非常に素晴らしい理想の町計画でしたね。しかし、残念なことに、この小平市の市民提言書は2004年9月のものなのです。もう10年以上も前に書かれたものです。2004年ものが検索上位にヒットするという事は、恐らく最近はこのような提言書は書かれていないのでしょう。
小平市が提言する内容としては、理想のまちとは自分たちの手で作っていくものだと説明しています。
市民・商店街・ボランティア・自治体・行政・国とみんなで力を合わせて、自分たちの小平市を『理想のまち』にしていこうという計画案です。内容が2004年9月のものなので、大分古く感じる部分もありましたが、基本的には、他の自治体や地域活性振興課や町づくり委員会が考えることと、ほぼほぼ同じような内容です。

理想の町・理想のまちづくり イメージ
goo辞書で『理想』の意味を調べてみました
1 人が心に描き求め続ける、それ以上望むところのない完全なもの。そうあってほしいと思う最高の状態。「―を高く掲げる」⇔現実。
2 理性によって考えうる最も完全な状態。また、実現したいと願う最善の目標あるいは状態。
ウィキペディアで『理想』を調べてみました
理想(りそう)とは、考えられるうちで最高の状態のこと。プラトンによる哲学思想「イデア」を明治時代に直訳した用語。
また、ある条件を定義し、それにあてはまったものを指して「理想」と呼ぶ場合もある。現実の対義語 (理想⇔現実) であるが、その現実を作る上で、目標となるものである。
実現可能な相対的な理想と、到達不可能な理想に分けられる。後者は、神や最高善などと呼ばれる。例:理想的な人、理想気体の状態方程式。
これらを簡単にまとめますと、理想とは
①人が心に描き求め続けるもの②これ以上ない完全なもの③実現したい最善の目標④ある条件の定義してそれにあてはまるもの
更に要約しますと、
理想とは、『人それぞれが描いた条件にあてはまった最高のもの』となります。
上記の用に定義をしますと、『理想の町』とは絶対的なものではないということになります。
つまり、人それぞれ考える『理想の町』が違うということなのです。
そうなると、各自治体が『理想の町』や『まちづくり』を目指して頑張っていますが、自治体が目指す対象者は誰になるのでしょうか?
また、我々は何を持って『理想の町』に住みたい!と考えればいいのでしょうか?
自治体が目指す理想の町とは?自治体が目指すまちづくりとは?

理想の町 商店街 イメージ
自治体が目指す理想の町とは、当然各自治体によって考え方は違いますから、一概には言えませんが、大枠は大体同じようなものです。ここ数年というよりも、30年程前から、地域活性化や町おこし・村おこしというものは各地で行われていました。なぜでしょうか?それは、その時点で既に日本の人口構造が少子高齢化を迎え、将来は必ず人口減少することが見えていたからです。2007年になり、団塊の世代が定年を迎えてからというもの一気に高齢化が加速して、慌てて国が本格的に少子高齢化対策や地方対策を考えるようになったのです。
自治体が『理想の町』を目指す流れ ~○○自治体のまちづくり計画~
流れ① 自分たちの自治体が人口減少を迎える 又は少子高齢化が他の自治体よりも加速している 又は過疎化が周囲の自治体よりも激しい。
流れ② ①の人口減少により、あらゆる問題が地元で起き始めている。例えば、買い物難民の問題。例えば、商店街に活気がない。例えば、若者が都心に出てから帰ってこない。例えば、農家をやる人で不足の為に休耕地が増えた。例えば、地元の産業の衰退。などなど。
流れ③ ②の問題を解決を図る為に、自治体は『○○自治体のまちづくり計画』や『○○自治体の理想のまちづくり計画案』なるものを考えるようになる。
自治体の理想の町
つまり、この流れを見ていただければ、分かると思いますが、『自治体の理想のまちづくり計画案の内容は、見なくても内容がほとんど分かる』のです。人口減少から起こる様々な問題を解決する為に、地域活性委員会や、地域町づくり委員会なるものを作るのですから、『自治体の理想の町』とはこれらの問題が起こらない町が中心理念としてあります。
自治体の状態を人間の体に例えるなら、体中のあちこちが痛いから、薬を飲んで治しましょう、と言うもの近いのです。
●少子高齢化→女性に優しい町(出産を増やす)●買い物難民を救出→商店街の復活●自給率が落ちている→農家を増やすために婚活パーティー●若者の流出が止まらない→Uターン者には補助金を出そう
等などの方法を取るのです。正に、西洋医学的な対処療法を施しているにすぎません。体質改善や生活の見直し等の根本的な治療をしているわけではないので、一時しのぎにしかならないのです。
数学で例えるなら、マイナスになった部分をゼロ水準までに戻そうというのが、自治体の理想の町の基準です。人口減少で問題が起こっている状態から、人口が減らずに問題が起こらない町を目指すのです。当然、そんなつもりはないと自治体関係者は言うでしょう。地域の協力者もそんなつもりはないでしょう。理想の町づづくりの内容には、ほとんどと言っていいほど、『地元の人が楽しくワクワクイキイキと暮らせる町、子供たちや若者が将来に希望が持てる街、お年寄りが安心して暮らせる町』などの文言を必ず入れているからです。しかし、当たり前の事ですが、そのような文言を入れたか入れないかでまちづくりの水準が上がるわけではありません。
国民(市民・町民・村民)が考える理想の町とは?まちづくりとは?

理想を目指して
一方、我々住む側が考える理想の町とはどうでしょうか?初めに、理想とは『人それぞれが描いた条件にあてはまった最高のもの』と言います、と説明しました。つまり、我々住む側にとっては、理想の街とはそれぞれ違うのですが、少なくとも、上記の自治体の基準であるマイナスをゼロベースに戻すことではないことは明らかです。人はそれぞれ欲望や願望を持っています。戦前のように、耐え忍ぶ生き方が推奨されていた時代ならいざ知らず、今や自由や自己実現を求める人が多い時代の中では、欲望や希望が大きい人が多いのです。そのような今の時代の中で、マイナスをゼロ基準に戻すだけのまちづくりで納得する人はいないでしょう。マイナスの経験を知っている、地元住民なら納得してくれたり満足するかもしれませんが、他の人がその自治体に住みたいと思うわけがありません。つまり、自治体が考えているものと、我々国民が考えているものとでは大きなギャップが存在するということなのです。
『理想の町イメージ』
自治体の考えるまちづくり=地域住民の考えるまちづくり≒他所の住民の考えるまちづくり

理想の町 理想の町づくり
地域住民にとっては、昔からいる有力者やお年寄りの意見が強かったりするものですから、理想=昔の古き良き時代となる場合が多いのです。最近の自治体は地元の意見も取り入れますから、地域住民の考える町とは=になる場合も多いです。しかし、それが、他の自治体や県からの住民や都会的な感覚からどうかというと、理想の町づくりとは言い難い内容なのです。他の自治体の住民がその町に住みたくなるような町でない限り、その町づくりは決して成功とは言えないでしょう。なぜなら、人口減少に歯止めをかけるには他の住民が来たくなるような魅力ある町でなくてはならないからです。
このように各自治体は『理想の町づくり』掲げては始めてみたものの、上手くいかない理由はこのような原因があるからなのです。